むし歯予防に効果的な「フッ素」の基礎知識

  • 2019年9月2日
  • 歯科コラム

「フッ素」(フッ化物)は、子どものむし歯予防のイメージがあるかもしれません。しかし、子どもから高齢者まで生涯を通じてフッ素を活用することがすすめられています。フッ素の利用方法やその組み合わせを知って、ご自分に合ったむし歯予防を行いましょう。

フッ素ってなに?

フッ素は、お茶や海藻、魚介類などに含まれている元素の1つです。フッ素は歯や骨の健康にとって有益な栄養素と位置付けられています。

フッ素の働き

フッ素には、次の3つの働きがあります。

1)再石灰化の促進

口の中では、プラーク(歯垢)が作った酸などにより、歯の成分(カルシウムやリン)が溶け出す「脱灰」と、唾液によって溶け出した成分が歯に戻っていく「再石灰化」が繰り返されています。歯の周りにフッ素があると「再石灰化」が促進されます。

2)歯質強化

歯の質を強くして、酸に溶けにくい歯にします。

3)細菌の酸産生抑制

プラーク(歯垢)中に潜んでいるむし歯の原因菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑えます。

フッ素の利用方法

フッ素を利用するには、次の3つの方法があります。

1.フッ素配合歯みがき剤

フッ素配合歯みがき剤は、みがいている間の効果に加え、歯みがきをした後で、歯や口の中の粘膜に残ったフッ素が少しずつ唾液に混ざり、効果を発揮します。現在市販されているほとんどの歯みがき剤にはフッ素が配合され、手軽に使うことができます。ライオン東京デンタルクリニックでは、患者様に適した歯みがき剤をご紹介しています。

※歯みがき剤の一例

【対象の方】

自分の歯を持つ全ての年齢の方。

(※乳幼児で歯みがき剤の吐き出しができない場合は、使用後に軽く拭き取ります。)

2.フッ素洗口

「フッ素洗口液」でうがいをする方法です。「毎日法」または「週1回法」の利用法があり、数年以上、継続して使用すると予防効果が高まります。当院では、歯科医師の指導のもと、患者様の年齢やお口の状態に合わせて、450ppmの濃度のフッ素洗口液のご使用をおすすめすることがあります。

一般的に、低濃度(225ppm)のフッ素洗口液は、薬剤師のいるドラッグストア・薬局または一部のオンラインストア、または薬局で購入できます。

【対象の方】
4歳以上から使用できます。
治療により修復した歯が多い方、歯列矯正治療を行っている方など、むし歯発生のリスクが高まっている方にもおすすめします。

3.フッ素塗布

歯科医院などで高濃度のフッ素を歯に直接塗る方法です。歯のエナメル質に直接フッ素を作用させることで歯の質を改善し、むし歯に対する抵抗力を高めます。

当院では、歯科医院専用の器械のブラシで歯をみがいた後に、歯に適合する使い捨てのトレーにフッ素のゲルを入れて、歯に3分間浸透させます。

歯科医院専用の器械のブラシ

フッ素のトレー

 

【主な対象の方】

・1歳~13歳頃
歯が生えて2~3年の間はむし歯になりやすいため、歯の生える時期に合わせ1歳頃から13歳頃までの間、継続的にフッ素塗布を行うことが効果的です。当院では、3ヵ月ごとの塗布をおすすめしています。

・成人

成人は特に、歯周病などで歯肉が下がり、歯の根の部分が露出しているところや、むし歯を治療したところが再びむし歯になりやすいため、フッ素塗布をおすすめします。

<成人がむし歯になりやすいところ>

フッ素の利用方法をどのように組み合わせるか?

毎日の歯みがきでは、「フッ素配合歯みがき剤」を使用することが基本です。その他のフッ素の利用方法は年齢やお口の状態、むし歯リスクの状況によって組み合わせます。

当院では、歯科医師がお口を診査し、患者さんに合った最適な方法をご提案します。ぜひご相談下さい。

文/公益財団法人ライオン歯科衛生研究所 阿部有美子(日本歯周病学会認定歯科衛生士)